「数学講究」で読んで欲しい書籍の例

名城大学 理工学部 数学科の学生のみなさんへ

私の担当する「数学講究」では, 学生がそれぞれ異る書物を読むことができます. 「数学講究」で精読する書物を選ぶ際の参考に, 思ひ付くままに書籍を列記しておきます.
◎ 印のついた本が読めるのが理想的です. * 印や ** 印は, 採用したことのある本です.
これまで使用した書籍の一部 PDF
  1. 【できるだけ翻訳されてゐない洋書にしたい】
    • J.-P. Serre 著 : Local fields, Springer-Verlag, G.T.M. 67, 1979 年 ◎
      局所体(local field)といふ言葉は本文に出てこないで a field complete under a discreate valuation と書かれてゐる. 局所体の基本事項を網羅し, 局所類体論までを扱つた本. 原著は仏語.
    • G. Shimura 著 : Arithmetic of quadratic forms, Springer-Verlag, 2010 年 ◎
      2 次形式の理論を明快に述べた快著.
    • L.C. Siegel 著 : Symplectic geometry, Academic Press, 1964 年 ◎
      上半平面に 2 次の実特殊線型群が作用するが, これを高次元に拡張した理論の基本的な文献.
    • K. Iwasawa 著 : Local class field theory, Oxford Univ. Press, 1986 年 * ◎
      整数論には, 数学の中で最も美しい理論の 1 つとされる類体論と呼ばれる理論がある. また, 類体論には大域体の理論と局所体の理論があり, 後者は前者の miniature と見做せる. この本は局所体の類体論を形式群といふものの理論で展開した本.
    • M. Sugiura : Unitary representaions and harmonic analysis, 2nd ed., North-Holand/Kodansha, 1990 年 ◎
    • A. Weil 著 : Basic Number Theory, 3rd ed., Springer-Verlag, 1974 年 ◎
      類体論を解説した名著.
    • N. Jacobson 著 : Lie algebra, Interscience Publishers, 1966 年 ◎
    • I.G. Macdonald 著 : Symmetric functions and Hall polynomials, 2nd ed., Oxford Univ. Press, 1995 年
      対称群やの表現や線型群の表現をそれらの指標函数と呼ばれるものに焦点をあてて, 展開した本. 対称式の理論から始まり, Schur 函数, Hall 多項式と呼ばれるものなどが登場する. これの Chapter 1 を読了することを目標とする. 著述は丁寧で, 例が非常に豊富である.
    • Philippe Gille, Tamás Szamuely 著 : Central simple algebras and Galois cohomology, 2nd. ed., Cambridge Studies in Adv. Math. 165, C.U.P. 2017 年 ◎
    • J. Voight 著 : Quaternion algebras, G.T.M. 288, Springer-Verlag 2021 年 ◎
  2. 【数論関係】
    • C.L. ジーゲル 著 : 解析的整数論 1 (片山 孝次 訳), 岩波書店, 2018 年 * ◎
    • C.L. ジーゲル 著 : 解析的整数論 2 (片山 孝次 訳), 岩波書店, 2018 年◎
    • C.L. ジーゲル 著 : 解析的整数論 3 (片山 孝次 訳), 岩波書店, 2023 年◎
    • N. Koblitz 著 : Introduction to elliptic curves and modular forms (2nd ed.) , G.T.M. 97, Springer 1993 年 ◎
      Birch Swinnerton-Dyer 予想がていねいに解説されてゐる.
    • N. コブリッツ : 楕円曲線と保型形式 (上田 勝 訳), 丸善出版, 2012 年 * ◎ (上記の和訳)
    • J.W.S. キャッセルズ (J.W.S. Cassels) 著 : 楕円曲線入門 , 岩波書店, 1996 年◎
      楕円曲線の基礎理論をまとめてある. 原著は英文 (Lectures on elliptic curves, Cambridge Univ. Press, 1991).
    • D.B. ザギヤー (Don Zagier) 著 : 数論入門 --- ゼータ関数と 2 次体 ---, 岩波書店, 1990 年 ◎
      2 次体とそれに付随する L 関数の理論を著者独特の筋道で解説した好著.
    • 土井 公二, 三宅 敏恒 共著 : 保型形式と整数論 , 紀伊國屋書店, 紀伊國屋数学叢書 7, 1976 年 ◎
    • T. Miyake 著 : Modular forms, Springer 1989 年◎ (上記の大半を英訳したもの)
    • B. Schoeneberg 著 : Elliptic modular functions, Springer 1974 年◎
      Dedekind の η 函数の一般化(Chapter VIII, §1)が面白い.
    • J. H. Silverman 著 : The arithmetic of ellipitc curves, 2nd ed., G.T.M. 106, Springer-Verlag 2009 年 * ◎
    • J. H. Silverman 著 : 楕円曲線の数論(原著第 2 版)(鈴木 治郎 訳), 共立出版 2023 年 ◎ (上記の和訳)
    • 高木 貞治 著 : 代数的整数論, 岩波書店, 1971 年 ** ◎
    • 和田 秀男 著 : コンピュータと素因数分解 遊星社, 1987 年 **
    • 小林 吹代 著 : マルコフ方程式, 技術評論社, 2017 年 **
      方程式 x^2+y^2+z^2=3xyz の整数解の話.
    • 木村 俊一 著 : 連分数の不思議, ブルーバックス, 講談社, 2012 年 **
      ひまわりの花の種が描くうずまきと Fibonacci 数や黄金数との関係の明解な解釈.
    • 中村 滋 著 : 改訂版 フィボナッチ数の小宇宙, 日本評論社, 2008 年 **
    • C.F. ガウス (C.F. Gauss) 著 : ガウスの整数論 (高瀬 正仁 訳), 朝倉書店, 1995 年 *
    • H.M. スターク (Stark) : 初等整数論, 現代数学社, 2000 年, (芹沢正三, 安藤四郎訳)*
    • 河田 敬義 著 : 代数的整数論, 共立出版, 現代数学講座 14, 1957 年 ◎
    • 三井 孝美 著 : 解析数論 --- 超越数論とディオファンタス近似論 ---, 共立講座 現代の数学 第 12巻, 1997 年 ◎
    • 小山 信也 著 : セルバーグ・ゼータ関数 --- リーマン予想への架け橋 ---, 日本評論社, 2018 年 ◎
  3. 【群論・表現論の関係】
    • 辰馬 伸彦 著 : 位相群の双対定理 , 紀伊國屋書店, 紀伊国屋数学叢書 32, 1994 年 ◎
      局所 compact 位相群の unitary 表現に関する非常に詳しい教科書
    • 野村 隆昭 著 : 球面調和函数と群の表現 , 日本評論社, 2018 年 ◎
      前半には, vector 空間, 距離空間, 位相空間, norm 空間, Hilbert 空間, unitary 作用素, 群, 線形 Lie 群, 局所 compact 群, Lie 代数など, 大学で学ぶほどんどの事項の復習が書いてあつて, 付録には σ 加法族, 測度, Fourier 変換の説明まである. 最終目標が L^2(R^n) における SL(2,R) の unitary 表現の分類, といふ本である.
    • 永尾 汎, 津島 行男 著 : 有限群の表現 , 裳華房, 数学選書 8, 1987 年 ◎
    • 鈴木 通夫 著 : 群論 (上) (下) , 岩波書店, 1977 年, 1978 年 ◎
    • 浅野 啓三, 永尾 汎 共著 : 群論 , 岩波全書 261, 1965 年 ** ◯
      第 6 章 は有限群の表現の話題.
    • 山内 恭彦, 杉浦 光夫 共著 : 連続群論入門, 培風館, 新数学シリーズ 18, 1960 年 *
    • 横田 一郎 著 : 群と表現 (基礎数学選書 10), 裳華房, 1973 年
      古典的 Lie 群の表現論について, 非常にていねいに書かれた有名な教科書.
    • 杉浦光夫 著 : 『ユニタリ表現入門』, 東京図書, 2018 年 *
  4. 【幾何学】
    • M. スピヴァック (Michael Spivak) 著 : 多変数解析学 --- 古典理論への現代的アプローチ ---, 東京図書, 1972 年 ◯
    • 松島 与三(よぞう) 著 : 多様体入門 (数学選書 5), 裳華房, 1965 年 ◯
      微分可能多様体の理論を基礎から説き起した名著.
    • 野水 克己 著 : 現代微分幾何入門(改訂版)(基礎数学選書 25), 裳華房, 1981 年 ◯
    • 小林 昭七 著 : 曲線と曲面の微分幾何(改訂版)
      微分幾何学への平易な入門書
    • R. ハーツホーン (Hartshorne) 著(難波 誠 訳): 幾何学 I, II, シュプリンガー・ジャパン, 2007 年, 2008 年 ◯
      Euclid の「幾何学原論」に関する極めつけの分析. 原著は英語.
    • B.L. ファン・デル・ヴェルデン (van der Wearden) 著 : 代数幾何学入門 Springer-Verlag 東京, 1991 年 *
      代数幾何学を古典的な方法で扱つた本. 古典的な扱いの方が代数幾何学の手触りを楽しめることも多い. 序文に, 著者は Euclid の原論になぞらへて書いた, とある. 原著は独語.
    • 清宮 俊雄 著 : 幾何学 科学新興社 モノグラフ 15 **
    • 清宮 俊雄 著 : 初等幾何学 (基礎数学選書 7), 裳華房, 1972 年 **
  5. 【Lie 群・Lie 環】
    • N. ブルバキ (Nicolas Bourbaki) 著 : リー群とリー環 3, 東京図書
      緻密な論理で書かれた Lie 群と Lie 環の理論の本. 「リー群とリー環 1, 2」とは独立して読める.
    • 佐武一郎 著 : リー環の話 [新版] (日評数学選書), 日本評論社, 2002 年
      リー環の基礎理論をまとめた名著.
    • 横田 一郎 著 : 古典型単純リー群, 現代数学社, 1990 年
    • 横田 一郎 著 : 例外型単純リー群, 現代数学社, 1992 年
  6. 【可換環論】
    • 松村 英之 著 : 可換環論, 共立出版, 共立講座 現代の数学 4, 1980 年
      可換環論の教科書の決定版.
  7. 【解析学】
    • 竹之内 脩 著 : 函数解析, 朝倉書店, 近代数学講座 13, 1966 年
    • 金子 晃 著 : 新版 超函数入門, 東京大学出版会, 1996 年
      佐藤幹夫の超函数の非常に詳しい入門書.
  8. 【確率論, 統計学】
    • A.H. コルモゴロフ 他著 : コルモゴロフの確率論入門, 森北出版, 2003 年,(丸山哲郎, 馬場良和 訳)*
    • P.G. ホーエル (Poul G. Hoel) 著 : 入門数理統計学, 培風館, 1978 年, (浅井晃, 村上正康 訳)
  9. 【こんな本もある】
    • D. バージェス, M. ボリー 著 : 微分方程式で数学モデルを作ろう, 日本評論社, 1990 年 *
    • R. クーラント(Courant), H.E. ロビンズ(Robbins) 著 : 数学とは何か (第 2 版), 岩波書店, 2001 年
    • E. アルティン (Emile Artin) 著 : ガンマ関数 , 日本評論社, 2002 年 **
      Gamma 函数の厳密で興味深い扱ひ. 原著は独語で英訳もある.
    • 三宅 敏恒 著 : 微分方程式 --- やさしい解き方 ---, 培風館 *
    • 戸田 盛和 著 : 楕円関数論入門, 日本評論社 **
    • H. ホックシタット (Hochstadt) 著 : 特殊関数 --- その理・工学への応用 ---, 培風館, 1974 年
      三角関数も一種の特殊関数であるが, 特殊なのに非常に有用である. この本で学ぶ特殊関数も同様で, 多くの分野に応用がある.
    • 永尾 汎(ひろし) 著 : 群とデザイン, 岩波書店, 1974 年
      デザイン (配置) とは, ものごとを効率良く進めるための計画の様なものである. この書では有限群の理論とデザインの問題との関係が追求されてゐる. 著述はとても丁寧である.
    • 戸田 盛和 著 : 非線形格子力学(増補版), 岩波書店, 1987 年
      戸田格子と呼ばれる数学的対象についての創始者による優れた解説書
    • 原田 耕一郎 著 : モンスター -- 群のひろがり ---, 岩波書店
      モンスター呼ばれる位数最大の散在型単純群についての解説書.
    • 中井 三留 (みつる) 著 : リーマン面, 森北出版, 数学全書 15
      リーマン面の理論を基礎からていねいに扱つた本.
    • M.アイグナー(Aigner) / G.ツィーグラー(Ziegler) 著 : 天書の証明 (蟹江幸博訳), シュプリンガー・フェアラーク東京, 2002年, (313 pages) **
    • Julian Havil 著 : オイラーの定数 ガンマ --- γ で旅する数学の世界 --- (新妻弘訳), 共立出版, 2009年, (306 pages)
    • H.S.M. Coxeter 著 : The Real Projective Plane (3rd Edition), Springer-Verlag, 2011 年, (222 pages)
    • 今野 紀雄 著 : 四元数, 森北出版, 2016 年, (160 pages) **
    • 井上, 中野, 福田 共著 : ファイナンスと保険の数理, 岩波数学叢書, 2014 年, (460 pages) *
以下の書物を「数学講究」が開始される前に(できれば入学前に)読んでおくとよい.

開講予定時限

年度による. 相談の上, ある程度は変更も可能である.
2026 年度は, 現時点では を予定してゐる.